勝利への解
（2024-25シーズン第15節 コベルコ神戸スティーラーズ戦）

◇NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25シーズン
◇浦安DR×神戸S（2025年4月12日＠千葉・ゼットエーオリプリスタジアム）

浦安D-Rocks（浦安DR）の記念すべきディビジョン1（D1）初トライは、開幕節の31分40秒過ぎに記録された。
そのトライゲッターは、ウイングの石井魁（いしい・かい）だった。
古豪・保善高校（東京）、東海大学と進んだ31歳は、トライが似合うリーグ指折りのフィニッシャーだ。

チャンスに高確率でスコアするトライ技術。プレーと判断にミスが少なくパフォーマンスに一貫性があり、出場すれば必ず成果を出してみせる。第5節コベルコ神戸スティーラーズ（神戸S）の前半8分のようにスティールで窮地を救うこともある。
今季は開幕節を含む6試合に出場し、ここまで4トライを記録。一時は怪我をしていたが、チームが第15節を迎える現在は完全復帰。コンディションについて尋ねると、本人はこう答えた。

「体調は万全です。ピッチピチです」

今季2度目の対戦となる神戸Sの先発ウイングは、28歳の安田卓平と22歳の松本壮馬。その一方で、石井も常に成長への意欲を燃やしている。

「若い選手が活躍しているのは、チームにとってすごく良いこと。僕自身も伸び盛りの選手と一緒に、まだまだ成長していきたい。負けないように頑張っていきたいですね」
「僕は復帰していつでも出場できる状態にはなっているので、結果を出す自信もあります。（試合出場を）自分が一番楽しみにしてます」

言動はいつもポジティブで、プレーは常に溌剌。ピッチの外では、アスリートとのボール遊びを通じて子ども達の成長を支援するプロジェクト『My First Ball』の発起人・リーダーとしても活動する。石井ほど、スポーツマンの社会的価値を表現している選手はそう多くないだろう。
今季は怪我による一時離脱はあったが、「人間としても成長できた良い経験になった」と肯定的に捉えている。

今週末にチームが対峙する神戸Sは、石井が第5節で2トライを奪った相手でもある。

「（神戸Sは）どこからでもアタックしてくるチームという印象で、一人ひとり良い選手がいることもあるので、チームとしてスキルフル。勢いに乗らせるとやっかいだと思います」

現在5位につける神戸Sだが、得点だけを見れば3位（480得点）。浦安DRと同様に高い攻撃力を持っている。

「今週は、組織としてディフェンスができるかが大事だと思います。打ち合いになったら厳しくなる可能性があるので、いかに相手を抑えて、後半にボールを動かすかですね」
「肝は後半じゃないですか。リザーブのメンバーが重要になってくる試合なのかなと。出場するタイミングも大切。その意味では、あの二人ですね」

経験豊富な石井が言及した"あの二人"とは――。

攻撃力の高い神戸Sに対して堅守で対抗し、後半もボールを動かして得点を重ねていく――。
そのイメージを実現すると石井が期待しているのは、先週50キャップを達成した橋本法史と、田村煕のハーフ団だ。

「二人が入るとテンポが変わります。二人が入ってどう変わるか、ひとつ注目してほしいと思います」

前節（横浜キヤノンイーグルス戦）もこの二人が後半21分から出場。チームは終盤に2トライを奪った。
リザーブ陣のブーストによって、チームのアタックがどのような火花を散らすのか。勝利を収めれば、活動拠点のある千葉県内でのD1初勝利となる。

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