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2024-25シーズン トレーニングマッチ
RockStars』、それぞれの輝き。

NTTジャパンラグビーリーグワン2024-25シーズン
◇浦安DR 1943 S東京ベイ(2025330日@東京・スピアーズえどりくフィールド)

日曜日の好天。陽射しはポカポカと暖かく、絶好のラグビー日和だ。バックスタンドにはD-Rockersが駆けつけ、「浦安!」と熱い声援を送った。

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浦安D-Rocks(浦安DR)は、前日の土曜日、宮城県でディビジョン(D1)第13節を戦った。この日はその試合に出場しなかった『RockStars』(ノンメンバー組の愛称)が、同じ千葉県内に拠点を置くクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(S東京ベイ)との練習試合に臨んだ。

「今シーズンはウイングやフルバックをしていたので、本職の9番(スクラムハーフ)は久々でした。メンバー争いに絡めるように頑張りたいと思っていたので、今日はまず9番にフォーカスして準備していました」

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そう意気込んでいたのは、2年目のSH小西泰聖。昨季は公式戦11試合に出場し、D1昇格に貢献した2年目の24歳だ。この日はルーキーSO森駿太とハーフ団を組み、巧みにゲームをコントロールした。
そのほかのスターティングメンバーは、フロントロー(FW1列)が元S東京ベイのPR石田楽人、正確なスローが持ち味のHO松下潤一郎、安定感抜群のPR平井将太郎。

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ツインタワーは、同じく元S東京ベイでゲームキャプテンを務めるLOヘルウヴェと、ハードワーカーのLO小島佑太。

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バックロー(FW3列)には、活動量豊富なFL武内慎、タックルに磨きのかかったFLマッケンジーアレキサンダー、ダイナミックな突進で魅せるNo8ルシアテ・フィナウという、迫力十分のフォワード陣。

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バックスは、練習生2名のほか、アーリーエントリー組からキック名手のCTB金侑悟(法政大学)、爆発的なスピードを持つWTB大畑亮太(筑波大学)。そしてフルバックには元オーストラリア代表/トンガ代表のFBイズラエル・フォラウが帰ってきた。

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リザーブでは、4名の練習生のほか、ファイターのPR梁正秀、機動力が光るPR玉永仁一郎、福岡工業大学からアーリーエントリーのPRハラホロ・トコラヒ、フィジカリティにも優れるPR西川和眞。

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さらにはこの日は前ポジションのナンバーエイトだった坂和樹、日本大学出身のHOサミソニ・アサエリ、スティールも得意なHO濱野隼也、ロックやフランカーをカバーする佐藤大樹、そして決定力溢れるWTBリサラシオシファという9人が入った。

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午後130分にキックオフした一戦は、開始直後、自陣からフォラウが大きなストライドで走った。60m超の爆走トライを決めた第4節(東芝ブレイブルーパス東京戦)以来のリーグ出場をねらう35歳が、早速会場を湧かせる。
立命館大学出身の司令塔・森は、確実なキックでエリアマネジメント。
FW陣は、ペナルティから自陣左に下がっての守備で、S東京ベイのモールでのトライを防いだ。しかしその後ラックサイドのFW戦で前半2分に先制トライを奪われ、ビハインドからのスタートとなった。(05

「チームのエフォートはありました」と、日米ハーフのFLアレキサンダーは日本語で話した。「ただ、ときどきエナジーが下がった時もあって、相手がモメンタム(勢い)を作ったときは止めるのが難しかったです」

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エリア右隅の攻防で光ったのが、アーリーエントリーのWTB大畑だ。ハイパントを確実に捕球すれば、高速で起き上がり連続タックルを見舞うシーンもあった。

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中堅・ベテランも負けていない。この日チーム初のスティール(旧ジャッカル)は石田楽人。スクラムで戦う石田が、古巣を相手にバックロー同等の仕事をみせた。ロックの小島は、いつも通りエナジー満点。5点を追う場面ではフェーズのなかで3連続タックルを決めた。

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両フランカーも奮闘する。今季2試合出場の武内慎、そしてアレキサンダーが矢のようなロータックルを次々に放つ。アレキサンダーは防御突破から大幅ゲインを取るなどラン能力でも貢献した。

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ただアタックでは、要所でのハンドリングエラー等もあってトライが決まらず。すると5点ビハインドの状況で、インテンショナル・ノックオンによるイエローカードで数的不利(14人)に。この14人の間にエリア隅を攻略されて2連続トライ(前半2228分)を浴び、ビハインドは17点(017)となった。
SH小西は、久しぶりの9番で14人の試合を組み立てるという難しい状況に対処した。冗談めかして「(9番の動きを)忘れているなと感じながら試合をしていました」と笑いつつ、バックスリーを経験したがゆえのロングキック等で、応急対応を続けた。

「外側のポジション(ウイング、フルバック)をやってきたことで、以前よりコミュニケーションを曖昧にせずに伝達できるようになったり、裏のスペースをより見られるようにはなりました。(飛距離の出る)キックも、今日活かすことができたスキルかなと思います」(SH小西)

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そして15人に戻った前半ラスト。浦安DRが猛攻を仕掛ける。
この日はセンターに入った金侑悟。大阪朝鮮高では少人数校ながら花園4強を達成した22歳が、接点に激しく突入する。ゴール前のペナルティから小島佑太がタップで速攻。それでもS東京ベイの分厚い守備を崩しきれず、017のまま後半へ向かった。

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後半、浦安DRに得点が生まれる。気合い十分だった一人がHO濱野隼也だ。

「(指導陣から)『後半頭からいくぞ』と言われていたので、入ったら思いっきりいってやろうと思っていました。チームとして相手のフィジカルに押されていた部分はありましたが、後半はセットプレーがすごく良かった。そこをプラスにできればと思います」(HO濱野)

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後半のスタートで、PR玉永、HO濱野の入ったスクラムでペナルティ誘発。日頃合わせていない練習生もいる難しい状況で、チーム自慢のスクラムが力を発揮した。
さらに濱野が「凄くいいフィジカルとエナジーを出してくれていた」と称賛した仲間が、ナンバーエイトで途中出場した坂和樹だ。
明治大学時代は、同校のチームスピリット「前へ」を体現する背番号8を背負っていた。浦安DRで同期・竹内柊平と同じプロップに転向した坂が、何度も弾丸となって突き抜けた。

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後半11分のチーム初トライは、そんなNO8坂の突進を起点とするペナルティから生まれた。

NO8坂の突破でプレッシャーを受けた相手がペナルティ。やってきた敵陣ラインアウトのチャンス。ここからFLアレキサンダーがボールを抱えて突破。HO濱野が粘り強くゲインを取ると、ボールを左に展開。オフロードパスを繋いで一本目を奪った。(517

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HO濱野は直後、反撃しようとする相手に対してスティール。学生時代からの得意技を見せた。

「久々に40分出場しました。(今季の目標は)まだディビジョン1で戦えていないので、しっかりメンバーに入ること。チームはまだ連勝できずにいるので、今日のように自分がエナジーを出して、それがチームのためになればと思います」(HO濱野)

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S東京ベイは武器のフィジカリティ、フォワード戦で重圧をかけ、浦安DRはモール等から被2連続トライ。スコアは531となる。

だが後半32分だ。

本職の10番に入った金侑悟が正確なハイパント。その後のエリア右隅のラックで浦安DRがボールを確保。そのまま手薄な正面守備を急襲。センターに入っていたフォローの森駿太が、武器であるランニング能力を活かしてトライエリアを奪った。

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さらに終盤の後半42分。

敵陣奥でラインアウトモールを組み上げる。相手の反則。さらにペナルティから敵陣ラインアウトの好機でトライラインに迫る。ラック形勢後、一次攻撃でグラウンディング成功。チーム3本目の歓喜を味わった。
後半だけのスコアは1926。先発FLアレキサンダーは「新人や練習生もいるなかで難しいところもあった」と話しつつ、鋭いタックルを連発していたことについては「今シーズン練習してきたところ」と成果を実感していた。

「スピアーズはいいチーム。ディフェンスが大変だったけど、フランカーはタックルが仕事。ちゃんと仕事はできたかなと思います」(FLアレキサンダー)

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先発で背番号9を背負い、後半スタートから15番としてプレーした小西。プレーの幅が広がった手応えを感じさせながら、改めて意気込みを語った。

「ほとんど試合に出続けていた昨シーズンのモチベーションは、チームも、僕自身も、ディビジョン1でプレーすることでした。今シーズン、ウイングやフルバックも経験したことで幅は広がったと思うので、多角的にチームに関わって、まずは試合に出たいですね」(SH小西)

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ポテンシャルを発揮した者。
元々のポジションで輝いた者。
練習の成果を実感した者。

それぞれの選手が、実戦でしか得られない成長を感じ取り、それぞれの輝きを放っていた。どんな時でも前進する意欲を絶やさない――。そんな『RockStars』の姿勢に、今シーズンの新たなドラマの誕生を期待せずにはいられない。

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