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猛攻と堅守みせた『RockStars

NTTジャパンラグビーリーグワン2024-25シーズン トレーニングマッチ
◇浦安DR 773 現代グロービス(2025216日@浦安Dパーク)

念願の日韓交流戦だった。

2023年よりパートナーシップ契約を締結している現代グロービス(韓国)との初の練習試合(フレンドリーシップマッチ)が、20252月、浦安Dパークで行われた。
浦安D-Rocks(浦安DR)はこれまで6人の選手[i]を現代グロービスに派遣。そのうちの一人、2023年に海を渡り、韓国リーグ優勝まで経験したLO佐藤大樹は特別な思いを抱いていた。

「元チームメイトと試合ができるので、今日は気合いが入りつつも、会えるのを楽しみにしていました。3週間参加させてもらい、グロービスで優勝まで経験できたことは良い思い出です」(LO佐藤)

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また、2024年に派遣されたルーキーPR玉永仁一郎も、この日を心待ちにしていた。

「昨年一週間行かせてもらいました。たくさん顔見知りがいたので、浦安D-Rocksとして試合ができることが嬉しかったです」(PR玉永)

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現代グロービスは、韓国の強豪社会人チームだ。浦安D-Rocksのスタッフで韓国出身の諸葛彬(ジェガル・ビン)さんによると、多くの韓国代表選手が在籍し、「2015年に創部され、成長への意欲が強いチーム」だという。
LO佐藤はチームの特徴について「フォワードは身体が大きく、タテに強い選手が多い」と語る。さらに、PR玉永は「フォワードにフィジカリティがあり、バックスの展開力も備えたバランスの良いチーム」と評した。
しかし、浦安D-Rocksも成長意欲、フォワードのフィジカリティ、バックスの展開力ならば負けていない。

この日の主役は『RockStars』(ノンメンバー組の愛称)だった。
現時点ではそれぞれの理由でノンメンバーになっているものの、それぞれの立場からチームにエナジーを与え続けている。そんな『RockStars』の熱量は、午前12時のキックオフと同時に全開になった。

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開始直後、現代グロービスのフォワード陣が魚雷のようなロータックル。激しい攻防が予想されるなか、浦安D-Rocksは相手ラインアウトのスローインを奪取。今季3試合に出場しているゲームキャプテン・中島進護がレッグドライブで力強く突き進む。
すると新加入のCTBタナ・トゥハカライナが突破。最後にパスを受けたFB小西泰聖が先制トライを決めた。(50

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元マオリ・オールブラックス(先住民マオリ系で構成されるニュージーランド代表チーム)のCTBトゥハカライナは絶好調。フォワード戦からの展開で抜け出すと、タッチライン際を駆け抜けたのはふたたびFB小西。中学時代は陸上100m11.4秒の記録があるという快足を飛ばし、有観客(無料)の会場を大いに沸かせた。(120

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この序盤のトライは、まさにチームの狙い通りだった。そう語ったのは、昨年まで7人制に専念し、第3節でチームデビューを果たした7人制日本代表の経験を持つ・WTB松本純弥だ。

「あれは予定通りのトライで、中がシステム通りに動いてくれました。僕はウイングとして、『トライを獲ること』『いかにボールに絡めるか』を常に意識していました」(WTB松本純弥)

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さらに、ルーキーコンビも躍動する。
ハーフ団は昨季入団のSH白栄拓也(筑波大学)とSO森駿太(立命館大学)。この日はミスの少ない安定感あるゲームメイクでチームを牽引した。

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連続トライ直後、まずはSO森が自陣から正確なショートパントを放つ。これを捕球したのは、花園大学出身で22日に31歳となったWTBリサラ シオシファ。左隅でゲインすると、SH白栄がラック脇のスペースを素早く察知し、強気のランでタックラーを次々と振り切りながら前進した。

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敵陣右コーナーに攻め込むと、LO中島がスティール(旧ジャッカル)を成功させる。ここからこの日初となるモール起点のトライが生まれた。ここまで2度押し切れなかったモールで「三度目の正直」。決めたのは、献身を惜しまないチームマン、HO金正奎だった。

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この日のチームのフォーカスは「得点を与えないこと」(LO佐藤)。その言葉通り、相手に一度もトライラインを割らせなかったことは成果だった。唯一の失点は前半19分のペナルティゴール。これは相手のキック「50:22」による後退後、ペナルティをおかしたことによるものだった。
しかし、その直後の前半21分。
HO金正奎を中心に据えたスクラムは安定感を見せ、途中出場した元ナンバーエイトのPR坂和樹、PR平井将太郎を最前列として力強く押し込んだ。

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SO森のオフロードパスで攻撃が継続すると、ラックでSH白栄がすばやい球出し。韓国出身の浦安DRスタッフ・諸葛彬さんは、このラックスピードの速さが「韓国ラグビーと日本ラグビーの違いのひとつ」と語った。
そしてフィニッシュは背番号15の小西泰聖。前半20分間でハットトリックを決め、決定力を披露した。(223

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現代グロービスも一度前進するとモメンタム(勢い)を活かした怒濤の攻撃を展開。前半24分にはあわや被トライのラインブレイクもあったが、ここはSH白栄が足元へのタックルで失点を防いだ。
現代グロービスは近場の一対一も強烈。だが浦安D-Rocksはフォワード戦も挑み、前半26分には今季2試合出場のFL武内慎らが好キャリーをみせると、最後はLO中島がさすがの体捌きでチーム5本目を奪った。(293

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そのLO中島と交替したLO佐藤は、タッチラインの外から、元チームメイトたちの「ガッツ」を感じていた。

「今日も現代グロービスはガッツあふれるファイティングスピリットを見せていました。タテの強さが持ち味です。ただ、僕たちは真っ向勝負にこだわるのではなく、パスを活用してズラすことも意識しました」(LO佐藤)

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浦安D-Rocksのキャリアーは、直線的なタックルを仕掛ける相手に対し、フットワークや細かいパスを駆使し始める。すると、前半34分にチーム6本目のトライが生まれた。
元派遣選手であるNO8ブロディ・マカスケルがフットワークを活かして相手タックルをかわしながら前進。

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最後はWTB松本純弥が広い視野で相手タックルをいなし、トライエリアへ飛び込んだ。ウイングとしての仕事をまっとうし、リードは31点(343)に拡大。

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その後、前半終了間際にLO中島が7本目のトライを決め、コンバージョンも成功。38点差(413)で試合を折り返した。
後半は、フォワード8人がフレッシュなメンバーに入れ替わっていた。

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前半の途中出場だった帝京大学V4メンバーのPR梅田海星(アーリーエントリー)、今季6試合に出場しているルーキーHO松下潤一郎、日本大学出身のPRサミソニ・アサエリ、この日ロングゲインを披露したLO金嶺志、そしてLO佐藤大樹。

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さらに、バックローの3人――大東文化大学出身のFL佐々木柚樹(アーリーエントリー)、日米ハーフのFLマッケンジーアレキサンダー、朝日大学出身のNO8ルシアテ・フィナウの8人が入り、後半の戦いに挑んだ。

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そして迎えた後半の開始直後。

若手フロントロー(PRアサエリ、HO松下、PR梅田)がスクラムで圧倒し、後半最初のペナルティを獲得。そこから右コーナーへと攻め込むと、HO松下の安定したスローイングからモールで一気に押し込み、フォワードを軸に後半最初のトライを奪った。(463
さらに後半48分、LO金嶺志が大きなストライドでビッグゲイン。ゴール前に迫った。

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ノックフォワードなどのミスで獲りきれなかったが、後半2度目の歓喜は55分。小西泰聖が自陣左で鋭いロングパス。ここから左隅の突破が生まれ、さらにLO佐藤が粘り強くゲイン。右隅で待っていたマッケンジーアレキサンダーのトライが生まれた。(513

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後半メンバーのエナジーは終始高かった。
PRアサエリが持ち前の突進力で前進し、LO金嶺志は後半23分に敵陣でスティールを成功させる。そして、このスティールを起点に後半3本目のトライを奪取。敵陣左ラインアウトからのモールで、着実にスコアを重ねた。(583

この日、キャリア初となるフランカーでの出場を果たした若き才能も、随所で好守を披露した。
高校は青森・八戸工業。大東文化大学在学中の元U20代表、佐々木柚樹だ。

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「フランカーとして試合に出るのは今日が初めてでした。まずは自分の仕事をまっとうしようと意識しました」(FL佐々木)

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日々の学びが楽しいと語るFL佐々木。「一番応援してくれている」という八戸工業高校の関係者や家族へ、「まずは出場できるように頑張りたいです」と意気込んだ。

さらに後半は、派遣選手だったPR玉永、HO濱野隼也が途中出場。2人が加わったスクラムでもペナルティを獲得すると、そのHO濱野らのカウンターラックから攻守が入れ替わり、敵陣へ前進。最後は右隅でのトライに繋げた。(633

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後半36分にはさらに1トライを追加。そして、試合を締めくくる後半6本目(チーム13トライ目)は同41分だった。
LO佐藤が元チームメイトへ鋭いタックルを決め、ターンオーバーを誘発。そこから一気に自陣を脱出し、敵陣でのスクラム選択から攻撃を開始。素早いピック&ゴーでFLアレキサンダーがハットトリックを決めた。
最後はフル出場のSO森駿太がコンバージョンを成功させ、最終スコアは773となった。

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前半7トライ。後半6トライ。相手に与えた得点はペナルティゴールの3点のみ。
合計13トライを奪う猛攻と堅守で、記念すべきフレンドリーシップマッチを締めくくった。

試合後には、両軍のゲームキャプテンによるジャージー交換が行われ、互いの健闘を称え合った。

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さらに、両チーム入り混じっての記念撮影も実施。その後は、かつてのチームメイトたちが旧交を温め合う、ラグビーならではの"ノーサイド"がいつまでも広がっていた。

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[i]坂和樹(PR)/玉永仁一郎(PR)/佐藤大樹(LO)/ブロディ・マカスケル(BR)/石川貴大(WTB・2022-24シーズンまで在籍)/髙野祥太(FB・2022-24シーズンまで在籍)