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「積み重ねた自信」

NTTジャパンラグビーリーグワン2024-25シーズン プレシーズンマッチ第2戦目
◇浦安DR 4017 S東京ベイ(2024112日@浦安Dパーク)

40分ハーフの前半終了時。
雨粒に濡れたスコアボードの数字は「190」だった。

浦安D-Rocks(浦安DR)は、2季前のNTTジャパンラグビー リーグワンを制覇したクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(S東京ベイ)を前半、無得点に抑える健闘をみせた。
ラグビーにおける"前半ゼロ封"は、幸運や、偶然によって得られる結果ではないはずだ。まして相手は強力なフォワードとバックス、熱きサポーター、そして日本一に到達したチーム文化を誇るトップチームだ。
細かい雨に打たれながら、浦安DRのディフェンスはひたむきで、力強かった。スクラムでも互角に渡り合い、ラインアウトの空中戦ではたびたび相手ボールを奪取。
前半のゴールラインを死守した。

「前半はめちゃくちゃ良いディフェンスで、無失点で折り返しました。ペナルティを重ねて自陣に入られたところは課題ですが、守り切るべきところで、守れていました」(LO/FL武内慎)

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2024年度のプレシーズンマッチ第2戦は、今季初の本拠地(浦安Dパーク)の開催。
あいにくの荒天予報ながら同じ千葉県内に拠点を置く「千葉ダービー」とあって、多くの両軍サポーターで賑わった。

ホスト浦安DRの先発メンバーは、日本代表合宿から帰還したSH飯沼蓮主将、そしてSO田村熙のハーフ団をはじめ、PR梁正秀、LOゼファニア・トゥイノナ、WTBタナ・トゥハカライの3名も先発へ。1222日(日)の開幕戦へ向けて、今回も約35名が80分間で実戦経験を積みあげた。

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試合前の準備期間に、LO佐藤大樹(後半出場)はS東京ベイ戦のフォーカスの一つとして「グラウンドを広く使い、空いているところにボールを運ぶことを意識してアタックしたい」と語っていた。
有言実行は開始1分だった。

浦安DRが最初の敵陣アタック。SH飯沼主将&SO田村の明治大学出身コンビでキャリアーを走らせる。と、複層的な後方ラインから左奥へクロスフィールドキックが放たれた。
このボールを捕球したルーキーWTBケレブ・カヴバティ(山梨学院大学)がゴール前へ突進。混戦状態からグラウンディングしたのはPRセコナイア・ポレ。空中を含めたフィールド全体のスペースを活用した"立体アタック"から、先制点を奪った。

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スクラムでも手応えを掴んだ。

「スクラムは、これまで積み上げてきた『8人全員で相手をドミネートする』ことは変わりません。個人的に相手のテクニックでやられたところもあったので学びになりました」

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そう語り、経験を深めた様子だったのは初先発のPR梁正秀。日本代表の欧州遠征に参加中のPR竹内柊平と同様、トライアウトで見出された大阪体育大学出身の25歳だ。
伸び盛りのプロップを擁する浦安DRのスクラムは、前半2度目で初ペナルティを奪い、フォワード8人で歓声を上げた。

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が、ここから前回の課題だった反則(オフサイドなど)を重ねてしまった。

3回目のペナルティ(キックオフサイド)で自陣方向へ後退。するとS東京ベイが得意のモールを組んできた。
失点のピンチ。それでも浦安DRは岩盤のごときモールディフェンスで、止めきった。さらにS東京ベイが重戦車FWを次々に当ててくる。ここもゴールラインを背に身体をぶつけ、引かない。

膠着の気配が漂った瞬間、相手がバックス展開。

ここで相手キャリアーの足元に絡みついたのが特大のタックルレンジを誇る、日本代表デビュー済みのCTBシェーンゲイツ。そして味方が殺到してターンオーバー。チーム一枚岩の堅守で、自陣を脱出した。
ここから反転攻勢した浦安DRは前半23分、ハイパントの混戦からWTBケレブ・カヴバティが2連続トライ。さらにフォワード戦でも大きな収穫を得る。

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敵陣でふたたびスクラムのペナルティ(前半30分)を奪ったのだ。
しかしスクラムにはこだわらず、2022年のチーム創設から磨いてきた武器、ラインアウトモールでの勝負に懸けた。

「ゴール前のスクラムでペナルティを獲ることができた上、その後、フォワード8人全員でラインアウトモールに切り替えてトライを取ることができました。あそこは全員でマインドチェンジをして獲ったシーンで、とても良かったです」(PR梁)

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新指揮官のグレイグ・レイドローHCは「試合前に必ず『ラグビーはフォワードから始まる』と言ってくれる」(LO/FL武内)という。
ゲームの強固な岩盤となるのはフォワードの働き。そんな日々の意識付けに応えるように、浦安DRのフォワードがモールで3本目を決めた。

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前半終了直前の自陣ピンチも、2戦先発のFB安田卓平が落球を誘うトライセーブ・タックル。190の"前半ゼロ封"という成果に繋げた。
後半開始時点で12人が替わった後半の浦安DR
開始2分で修正したS東京ベイにトライを許すが(195)、フォワード戦での真っ向勝負で引き続き戦果を上げる。

トライ被弾から4分後(後半6分)。

敵陣侵入後のモールは前進を阻まれたが、力強い連続キャリー。最後は途中出場でアメリカ出身のマッケンジーアレキサンダーがゴール下に身体をねじ込んだ(265)。

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マッケンジーは後半17分にも連続トライ(3312)。さらにキックゲームで66分出場したFB安田が好タッチ。敵陣に入ると浦安DRはバックス勝負。
ゴール前での鋭いボールさばきから、ニュージーランド出身の新戦力CTBタナ・トゥハカライナがゴールラインを割る。フォワード、フォワードときて、バックスでもフィニッシュした。

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充実の後半3トライで、ゴールキックは今年ニュージーランド留学を経験した立命館大学出身のルーキー、森駿太が3本中3本成功。後半スコアでも2117で上回ってみせ、全体は4017でノーサイド。
それは、どっしりとした手応えのある、チームで自信をひとつ積み重ねたような今シーズン(練習試合)初勝利だった。

「雨の予報だったのでフォワードを当てる『プランB』もありましたが、特に雨だから出来なかったということがなく、フォワードとバックスでリンクできました。後半のメンバーもフォワードの推進力があって、ブレイクダウン(ボール争奪局面)を含めて手応えがあったと思います!」(PR梁)

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試合後は予定通り、クラブハウスの2階テラスでは選手企画のアフターマッチファンクション「Rocks Nigth Hour(ロックス ナイト アワー)」が行われ、雨天予報ながら足を運んでくれたファンと選手が熱戦の余韻に浸った。

同イベントは今週も予定されている。
119日(土)12時キックオフの三重ホンダヒート戦は2試合連続、本拠地・浦安Dパークでの開催だ。
三重ホンダヒートはかつて共にD2で競った強敵。今季D1の第712節で対戦予定だ。共にD1への昇格を果たしたチーム同士、腕が鳴るシーズン前哨戦となる。

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