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2023-24シーズン第6節「追い求めたスタンダード」

NTTジャパンラグビーリーグワン2023-24シーズン第6
◇浦安DR 85-5 釜石SW2024217日@神奈川・大和なでしこスタジアム)

前半大きなリードを奪ったチームには、内なる敵が生まれる場合がある。「油断」という名のその敵は心の隙間に入り込んできて、甘い言葉をささやき、軽い選択をさせようとする。

創設1年目だった昨季の浦安D-Rocks(浦安DR)は、後半にプレー精度が落ちることがあった。1年前の20232月。昨季第5節の日本製鉄釜石シーウェイブス(釜石SW)戦は、前半を380で圧倒していたが、後半スコアは同点(2626)だった。

その試合後、ヨハン・アッカーマンHCは「無理にオフロードパスを通そうとしたり、個々のエラーが目立った。後半にプレー精度が落ちてしまうことは我々の課題」と語った。

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それから約1年が経った、2024217日(土)。

ディビジョン2D2)のレギュラーシーズン第6節で戦った相手は、今季2度目の対戦となる5敗の釜石SW41敗の浦安DRは、バック側で小田急線が行き交う大和なでしこスタジアム(神奈川県大和市)で、全国にファンを持つ東北チームを迎え撃った。

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前半は1年前と同様、大きなリードを得た。

前半を終えて430。初出場・初先発のHOフランコ・マレーなど、2週間前から先発9人[i]を変えた布陣で7トライを奪った。

明治大学の先輩後輩であるハーフ団、SH飯沼主将(24歳)とSO田村(30歳)が牽引するアタックは効果大。WTB石井魁は前半だけでハットトリックを決めた。

「ここ数試合の課題は、外にスペースがある時、バックスがコミュニケーションを取りきれずにチャンスを逃すことでしたが、今日は熙さん(SO田村)がクリアなコールを出してくれたのでチャンスを作れました」(SH飯沼蓮主将)

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そして迎えた後半40分間。

後半は今季初先発のWTBリサラ シオシファの豪快突破から、SH飯沼主将のトライで幕開け。さらに後半7分、キャリー役で大活躍のLOリーヴァイ・ダグラスが、ゴール前のパワープレーで2本目を奪った。

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途中出場の小西泰聖は、スクラムから守備4人を掻い潜って後半3本目。強引な5050のオフロードパスは目立つ、ディフェンスの集中力も高い。相手の攻撃ラインが逆目に移動すれば、すぐに各所から指示が沸き起こる。

 浦安DRのプレー精度、エナジーの急落は見当たらなかった。

 「今日はシンプルな当たり前のところを突き詰めて、80分、自分たちのスタンダードにフォーカスしました」(SH飯沼主将)

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 チームの中心的なフォーカスは、スタンダードを80分間発揮すること。「相手」「得点」などの外的要素ではなかった。元日本代表の名キッカーであり、母校・慶應義塾大学の監督も務めた栗原徹コーチングコーディネーター。この2週間は基礎の学び直しに取り組んだと明かした。

 「(この2週間は)もう一度基礎からやり直そうと。選手もそこに賛同してくれて、基礎的な『21』のハンドリングも含めて見つめ直しました」

 「もちろん相手も分析しましたが、今回は相手どうこうの前に、自分たちのスタイルにかなりフォーカスしました。今日はその結果が出たと思います」(栗原コーチングコーディネーター)

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 スタイルの一部である、ボールを持っていない時の動き(オフ・ザ・ボール)の運動量、スピードも追求していた。速く動き、早くセットする。それが効果的なアタック、ディフェンスの土台を築いた。

 苦しい時間帯の後半20分過ぎだった。

 スコアは640。勝利は濃厚といえる状況だ。それでも守備の圧力、ラインスピードは前半に見劣りしない。チームは内側にベクトルを向け、スタンダードにフォーカスしている。HOマレーが相手を押し込む強力タックルをかました。

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 後半4本目、63分のトライはそのディフェンスからだった。

 2月上旬に行われた男子15人制コンセプト合宿のトレーニングスコッドに選ばれた、先発センターのサミソニ・トゥア。日本代表キャップを持つ竹内柊平を除いて、ディビジョン1以外からの合宿初招集はサミソニだけ。

 快挙ともいえる招集だったCTBサミソニもまた、セットのスピードを意識していた。

 「合宿で学んだことはオフ・ザ・ボール。そこのスピードとセットは今日も意識して、よく出来ました。これからも目標の日本代表になれるように毎試合、良い準備します」(CTBサミソニ)

 そのCTBサミソニが63LINE_ALBUM_20240217_vs Seawaves_240219_10.jpg58秒、オフ・ザ・ボールで魅せた。

 相手のロングパスをインターセプト。得意のアタックではなく、オフ・ザ・ボールのディフェンスからトライを生み出した。

 「今日は浦安D-Rocksとして求めているラグビーができました」と語ったのは栗原コーチングコーディネーター。高いレベルを追求するSH飯沼主将も「後半きつい場面で精度が落ちていた」としつつ、「入りから求めているスタンダードでラグビーができました」と及第点だった。

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 スタンダードの追求で今季最多85得点。

 5勝目を挙げた。

 次なる闘いは33日(日)だ。大阪・ヨドコウ桜スタジアムで、レッドハリケーンズ大阪と今季2度目の対戦が待っている。

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[i] PR西川和眞/HOフランコ・マレー/PR竹内柊平/LO中島進護/FL武内慎/FLブロディ・マカスケル/SO田村煕/CTBサム・ケレビ/WTBリサラシオシファ