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2023-24シーズン トレーニングマッチ「エナジーの勝利」

2023-24シーズン トレーニングマッチ 
◇浦安DR 74-0 江東BS2024127日@浦安Dパーク)

NTTジャパンラグビーリーグワンのディビジョン2(D2)は、総力戦だ。良いメンバーが23人いればディビジョン1に昇格できるほど、簡単な道のりではない。

試練の厳しさは知っている。だからこそ、誰が出場しても、浦安D-Rocksのラグビーで勝利できる、そんな盤石の体制で高みに挑みたい。

「一緒のラグビーができていた感覚はありました」

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この日後半からセンターで出場した髙野祥太が言った。北九州の小倉高、青山学院大学と進んだユーティリティ・バックスは、この日のメンバーの熱量も誇った。

「今日は出場機会の少ない選手などが後半メンバーでしたが、それぞれの持ち味を出せていました。エナジーはめちゃくちゃ良かったです」

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浦安D-Rocks(浦安DR)は第4節を終え、31敗の首位。3週間のBYEウィーク期間中だった127日(土)は、千葉・浦安Dパークに、ディビジョン3所属の清水建設江東ブルーシャークスを迎え、練習試合をおこなった。

快晴に恵まれた本拠地グラウンドで、浦安DRは序盤からエナジー全開だった。

前半は風上に立ち、SO(スタンドオフ)クリップスヘイデンが効果的な長短キック。花園大学出身のWTB(ウイング)リサラシオシファは相手をなぎ倒すビッグキャリー。インパクトを残した。

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先制は開始3分だ。

15番先発の田村熙がショートキックの跳ね返りを確保。オフロードパスから小気味よくパスを繋いだ先にWTBスルンガが控えていた。前掛かりの攻撃から1本目を切り取った。

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髙野が「チームとして無得点で抑えられたことがよかった」と話した通り、この日はディフェンスが冴えた。序盤では目黒学院中高、日本大学出身の先発HO(フッカー)サミソニ・アサエリがジャッカル。ピンチをしのいだ。

ゲームはハイパントから攻守交代を起こす理想的展開。敵陣侵入から前半9分、SOクリップスが守備の切れ目から抜け出す。2トライ目を奪った。

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スクラムはノーコンテストで行われたが、モールなどのFW戦も充実していた。

LO(ロック)ヴィンピー・ファンデルヴァルトは突進役からリンク役まで、多岐にわたり活躍。ゲームキャプテンを担ったもう一人のロック小島佑太は、モールなどFW戦で核となった。前半21分にはフィジカルを活かして4本目のスコアラーとなった。

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と、260とリードした辺りから反則が目立ち始める。

「ディシプリン!(規律)」

青空に注意喚起の声が響く。ゲームキャプテンのLO小島がレフリーに呼ばれ、注意を受けた。小島が呼びかけ、円陣をつくって声を掛ける。立ち位置のオフサイドに注意しよう。

すると、ここで長期離脱から今季復帰した先発CTB(センター)シェーン・ゲイツが存在感を示す。

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パスを繋げられたら失点か、という危機的状況で、レンジの広いタックルでランナーを止めてみせる。ただし南アフリカ出身のチームマンは、個人のアピールにばかりフォーカスしていたのではなかった。

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「今日のような練習試合のおかげでチームに貢献できると思っています。なぜなら今日の(出場会の少ない)メンバーが活躍することで、チームにプレッシャーを掛けることができるからです」

コンディションは「皆さんのお陰でとても良い」というCTBゲイツは、アタックでは前半35分に5本目のトライ。330で折り返す完封劇に貢献した。

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前半38分のイエローカードは課題となったが、後半も完封は続いた。

後半のスタートからは、怪我から復帰のPR(プロップ)平井将太郎、LOジェームス・ムーアが出場。2019年W杯日本代表のLOムーアは、いきなり開始直後に相手キャリアーをねじ上げ、ターンオーバーのトリガー役となった。

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後半開始のスコアもセブンズ日本代表経験のあるWTBスルンガ。キックの再獲得からハットトリックを決める活躍をみせた。

フッカーとして経験豊富なFL(フランカー)フランコ・マレーは激しいディフェンス。音の鳴るタックルで前進を止めた。HO(フッカー)濱野隼也は強風の中、ラインアウトスローを修正。後半2本目のトライをみずから決めきった(450)。

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風下側に回ったが、浦安DRの得点ペースは落ちない。

10番に入っていた田村熙が相手パスミスをすぐ捕球。そのまま独走トライを奪えば、怪我から復帰のPR平井がロングキャリーで前進。

ここから左展開。CTB髙野がファーストレシーバーとなり、強風にあらがうロングパスを松尾将太郎へ。昨年NZ留学を経験した27歳がフィニッシュを演出し、後半4本目を切り取った。

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さらに後半27分に1トライを追加し、640の大量リードに。ここから精度の足りないオフロードパスなどが目立つようになったが、いやな膠着状態を打破したのは、選手会長のFL佐藤大樹だ。

慶應義塾大学の元主将で、昨年は諸葛彬サステナビリティ/SDGs担当のサポートも受けながら韓国・現代グロービスに期間限定で加入。敵陣左でボールを受け取ったFL佐藤は、高い身体能力を感じさせるスピード&パワーでタックラーを弾く。10分続いたノースコアのトンネルを抜ける後半6本目を奪った。

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そして最後は、自陣ターンオーバーからの逆襲。

復帰戦となったLOムーアが無人エリアにロングキック。さらに懸命にチェイスし、仲間の確保からパスを受け取ると、そのままインゴールへ。ハードワークを信条とするムーアが後半7本目を決め、740で、勝ち切った。

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本職はフルバックだが、この日はセンター、途中から10番役も担った髙野の表情は試合後、充実の表情だった。

「何分に出場するか事前に決まっていなかったのですが、今日は『いつ出番が来てもいいように準備する』点に、みんながフォーカスしていました。そこは一人ひとり良かったです」

「僕たちのチームカラーは『ダイナミック インテンシティ ラグビー』。一人ひとりが全力を尽くす。『ボール持ってない時も、持っている時も、チームのために』という部分は、今後も良い文化として作っていきたいと思います」(髙野)

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公式戦ではまだボールを持てていないメンバーも、この日はボールを持ち、躍動した。浦安DR、全員のエナジーの勝利だった。

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