GAMEゲーム
レポート
REPORTレポート
2023-24シーズンマッチ第2戦「再起への第一歩」
◇NTTジャパンラグビーリーグワン2023-24シーズン第2節
◇浦安DR 57-12 九州KV(2023年12月16日@東京・スピアーズえどりくフィールド)
師走とは思えない温暖な気候の中、前半は時に強風にあおられながら攻め立てたが、会心の試合運びではなかった。
前半を終えてリードは12点(24-12)。
今季昇格の九州電力キューデンヴォルテクス(九州KV)はディフェンスに矜持を持つ。前半獲られた2トライ(前半6分、23分)はいずれもインターセプト、キックチャージという守備からの速攻攻撃が起点となっていた。
浦安D-Rocks(浦安DR)、チーム創設2季目のレギュラーシーズン2戦目。
ディビジョン2(D2)初黒星を喫した開幕戦からは、先発3名[i]、リザーブ4名[ii]を変えて、九州から上京してきた難敵を迎えた。サミソニ・アサエリ、リーヴァイ・ダグラスにとっては記念すべきリーグデビューとなった。
南アフリカ出身のヨハン・アッカーマンHCにとって、前半の出来は芳しいものではなかった。
第2節の大きなフォーカスは"チャンスを決めきる"ことだったが、TMO(テレビジョンマッチ・オフィシャル)による2度のトライ取り消しもあった前半は、効率的にチャンスを得点に変えられずにいた。
「先週の試合(NECグリーンロケッツ東葛戦)を振り返ると、敵陣に入ってチャンスを作りながら、決めきれないシーンが多くありました。スクラムやモール、ラインアウトからアタックなどです」
「今週はその『決めきる』部分に大きくフォーカスし、今日の試合は、そこが少しずつハマり出したように見えました」(アッカーマンHC)
後半、浦安DRは修正した。
後半の40分間がスタート。すると開始早々に今季も絶好調のFLリアム・ギルが十八番のジャッカル。幸先良く敵陣に入る。が、後半最初の敵陣22m攻撃は堅守を誇る九州KVに阻まれる。
両センターは、ここからのチャンスを得点に変えた功労者だ。
今季新加入のサム・ケレビ(背番号12)と摂南大学出身のサミソニ・トゥア(背番号13)。
後半4分にCTBケレビが突進&オフロードパス。WTB石井魁の絶妙チップキックをCTBサミソニ・トゥアが捕球。WTB石井のトライを演出してみせた。
31-12で迎えた後半7分にはスクラムでもペナルティ。2分後にはふたたびサミソニ・トゥアが左隅を攻略。これで26点差(38-12)。さらにフロントローを全員替えたフォワードでスクラム・コラプシングを奪うなど、優位性が確かなものになっていく。
後半22分にはHOサミソニ・アサエリがモールで連続トライ。プレシーズンで手応えを掴んだモールで獲りきり、リーグデビューで2トライを記録。そして終盤にもSO田村熙のキャリーから80分出場のWTBラリー・スルンガが決めきった。
後半だけのスコアは33-0の完封。トライ数は前半を上回る5本。57-12というスコアで今季初勝利を掴み、再起への第一歩を力強く踏みだした。
浦安DRの今季クラブキャプテンはFL中島進護だ。
主にチーム文化の醸成を担うフィールド外のリーダーは、この日今季初出場・初先発を飾った。
敗北という経験は信念を揺さぶる。そこから疑念が芽生えることもある。しかしNTTコミュニケーションズ時代に共同主将も経験している中島は、開幕戦の黒星に動揺しなかった。チームに伝えていた。
「負けたからどうこうではなく、浦安D-Rocksのラグビーを貫こうと話しました」
結果に一喜一憂はしない。目標物を見据え、自分たちが信じるラグビーを突き詰めていく。その先に自分たちが求める、今季のゴールが待っている。
勝敗をイーブン(1勝1敗)に戻した浦安DR。
次戦は12月24日、福島・ハワイアンズスタジアムいわきに初見参する。ビジターゲームで2敗の日本製鉄釜石シーウェイブスから狙うは、今季2勝目だ。
----------------------------------------------------------------------------------------------
[i] PR竹内柊平/LO金嶺志/FL中島進護
[ii]サミソニ・アサエリ/西川和眞/リーヴァイ・ダグラス/繁松哲大