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2023-24シーズン 第1節「敗北という名の機会」

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24シーズン第1節
◇浦安DR 28-31 GR東葛(2023122日@千葉・柏の葉公園総合競技場)

 

負けた。

浦安D-Rocks(浦安DR)がチーム創設2年目にして、レギュラーシーズンで初めて負けた。

1年目の昨季はポストシーズン(入替戦)まで12戦全勝(不戦勝1)。NTTジャパンラグビーリーグワンのディビジョン2D2)では初黒星だ。

敗戦後のヨハン・アッカーマンHCは「がっかりしていますが、まだ初戦です」と、表情を変えなかった。

「リーグ戦では緊張、重圧がのしかかってきます。そこでどれだけ耐えられるか。そこは強くならなければならない部分です」

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開幕戦の相手はNECグリーンロケッツ東葛(GR東葛)。

昨季入替戦で降格してはいるが、ディビジョン1D1)の経験値がある強敵。会場となった敵地・柏の葉は、勝利を信じるサポーターの熱気に包まれていた。

繰り広げられたのは、白熱のシーソーゲームだった。

獲られたら獲り返す。前半12分に浦安DRが先制トライ(FLリアム・ギル)を決めれば、相手も浦安DRのラインアウトミスから仕留めた。

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77で迎えた前半24分は、先発を勝ち取ったHO藤村琉士が強みのキャリー。オフロードパスを決め、いつもはアシスト側のキック名手、SOクリップスヘイデンが2本目。

しかし相手も1本を返して1414。それでも前半35分に爆裂キャリアーのCTBサミソニ・トゥアが猛進して3本目。7点リード(2114)で後半に入った。

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ディフェンスでは序盤からターンオーバーを連発し、見せ場をつくっていた浦安DR。そこはD1チームとのプレシーズンマッチでも手応えがあった。

しかし後半1分、自陣脱出のキックから相手FBレメキロマノラヴァ主将が突破。後半最初のトライを奪われるなど「ソフト・トライ」(簡単に獲られるトライ)が多く、手痛かった。

後半8分には今季好調のLO小島佑太が、頭部と頭部がぶつかる偶発的な衝突により今季チーム初のイエロー。ここから相手がモール起点でトライを追加。

相手のロングPG成功で10点差となったが、後半24分にSH飯沼主将がパスダミーから技ありのトライ。途中出場した田村熙がコンバージョン成功。明治大学の先輩後輩のハーフ団で、3点差とした。しかし――。

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「終盤に良いチャンスがありましたが、初戦の緊張もあるのか、簡単なミスをしてしまい、決めきれませんでした」(アッカーマンHC

後半32分、敵陣で多重攻撃。しかしCTBサム・ケレビのノックオンを誘発され、得点機を逃した。

さらに最終盤。

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敵陣5m付近で獲得したペナルティ。途中出場のHO金正奎のキャリー。ラックにして、逆サイドを急襲。FLリアム・ギルを先頭とする集団を突っ込ませる。

 

しかし相手の好守で、後半37分、無念のノートライ判定。逆転は、ならなかった。

 

ノーサイド。粘り強いGR東葛が、ショットによる3点差を守り抜き、ホストゲームで開幕戦白星を挙げた。浦安DRメンバーは歓喜を見届け、やがて試合後の握手を求めて勝者に歩み寄った。

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修正ポイントの一つはプレーのインテンシティ(強度)だろう。

譲ってはならない衝突局面、強度を発揮したい場面で、キープレイヤーにゲインを獲られた。試合後、SH飯沼主将の声色には反省が滲んでいた。

「一つもゲインを切らせない部分が自分たちのラグビーですが、相手に『イケる』と思わせてしまっていた。そこはまだまだです」(SH飯沼主将)

「練習試合ではミスをしても直せばいい、という心境で臨めますが、今日のようなリーグ戦は違います。違う観点で吹いてくれるレフリーもいます。今後は人間性が試される場面で、インテンシティを上げられるかに掛かっています」(アッカーマンHC

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黒星スタートとなった開幕戦を終えて、入替戦までの試合数は「11」となった。

リーグ戦は残り9試合。その後にある順位決定戦が2試合だ。

たとえリーグ戦10試合を終えて3位になったとしても、上位3チームによる順位決定戦2試合に連勝すれば逆転1位となる。もちろん逆のパターンで3位になる可能性もある。

その意味で、順位決定戦の2試合は重要だ。終盤へ向けて調子を上げていくピーキングも重要になるだろう。

昨季は入替戦という最重要局面で、チームが浮き足立ってしまった。

もっと自分達を追いつめることができていたら。一つの反則が命取りになるような接戦で勝利する、もしくは、敗北する。そんな経験をもっと重ねていたら結果は違っていたのではないか――。

柏の葉で味わった、レギュラーシーズン初の敗北。

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記者会見で、SH飯沼主将の表情はしかし充溢していた。

「結果は結果です。まだ初戦ですし、ここから成長するチャンスを与えてもらいました」

落胆の色はない。レギュラーシーズン初の敗北を喫した、その率直な感想を問われた。飯沼主将は手元にあったものをスッと差し出すように、滑らかに答えた。

「僕はポジティブな印象です。負けないと自分達の本質も見えません」

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何かを失ったのではなく、23歳の主将は何かを掴んでいた。成長意欲に溢れる人間にとって、敗北は敗北ではなかった。

チーム史上初めて黒星先行(01敗)で迎える第2節は、すぐにやってくる。1216日(土)。相手は昇格してきた九州電力キューデンヴォルテクスだ。

創設1年目は全勝のまま突き進んだ。2年目は敗北から始まった。

対照的な幕開けとなった202324シーズンの行く末を知る者は、まだ、誰もいない。

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