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2023-24プレシーズンマッチ第4戦「充実のゼロ」
◇2023-24 プレシーズンマッチ第4戦
◇浦安DR 38-24 三重H(2023年11月25日@浦安Dパーク)
まだ疲労が残っている。
先発するHO金正奎は、身体の深部にある重みをはっきりと感じていた。それもそのはず、前日金曜日まで千葉・市原で強化合宿をしていた。しかし、言い訳はしない。合宿翌日にプレシーズンマッチ4戦目があることは分かっていた事だ。
「正直、疲れはめちゃくちゃ残っています。でもそこで言い訳をせずにみんなで準備してきました」(HO金正奎)
11月25日の千葉・浦安Dパーク。
天候に恵まれたものの、週末急降下した気温のため、風は冷え冷えとしている。12月9日の今季開幕戦まで2週間。ファンにはお馴染みの底冷えと共に、いよいよシーズンが迫ってきた。
プレシーズンマッチ3戦全勝の浦安D-Rocks(浦安DR)。
今回本拠地に迎えた相手は、ディビジョン1(D1)の三重ホンダヒート(三重H)。昨季ディビジョン2(D2)で闘い、見事にD1昇格を手にした強敵だ。
正午に滑川剛人レフリーの笛でキックオフされた試合。浦安DRは、合宿の疲労を感じさせない充実をみせた。規律正しく、激しいディフェンスを続けたのだ。
序盤、HO金正奎が敵陣深くで相手キャリアーにヒットし、ボールに絡みつく。ターンオーバーが生まれた。このチャンスから敵陣攻撃を繰り出し、反則からLO小島佑太が速攻。前半6分にトライライン先に飛び込んだ。
浦安の空に、バチンと鈍い音が響いた。
7点リードの前半8分40秒。NO8タイラー・ポールとFLリアム・ギルのダブルタックルが決まった。相手の大型キャリアーはノックオン。激しく正確なタックルが、相手の反攻の芽を摘んでいく。
「今日は大きなキャリアーを止めることができました。それによって相手はいろんな方向にボールを振ってきましたが、それにも対応できました」(FLギル)
14分にはHO金正奎が鋭い出足でボールにタックル。モールに持ち込み、ターンオーバーを演出。先週のリコーブラックラムズ東京戦に続き、規律と激しさの両立したディフェンスだった。
昨季、今回対戦の三重Hは昇格した。
一方で、浦安DRはD2に残留した。
その差はどこにあるのか。何が足りなかったのか。その問いと向き合ってきた分だけ、今年、浦安DRの芯は確実に太くなっている。
「去年はアグレッシブにプレーする事にフォーカスしすぎたがゆえ、ペナルティが多かったです。今年は練習中からかなりディシプリン(規律)を意識していて、どの反則を減らすのかにもフォーカスを置いています。それが成果として表れていると思います」(HO金正奎)
カード(イエロー、レッド)は3戦連続でゼロ。理性と野性を両立させる大きなチャレンジで、次第に成果が出始めている。
逆にこの日は相手に2枚のイエローが出た。前半26分にモールを崩したとして相手WTBが10分間の退出。有利になったバックス勝負で前半30分に2トライ目を奪い、14-0で折り返した。
スクラムの安定も、ペナルティの減少傾向に寄与する。
後半からスクラム最前列のPR西川和眞、HO藤村琉士、PR竹内柊平が一気に変わったが、最初のスクラムで強制ペナルティ。快哉を叫んだ。SO田村熙の好タッチキックからモールで後半1本目、50分にもモールで後半2本目を奪った。
そして1トライを追加し、31-0で迎えた後半26分。
浦安DRはラックで圧力を掛けすぎてしまったか、滑川レフリーの手が三重H側に挙がる。しかし自陣で耐える。オフサイドラインから一歩、二歩後方から勢いをつけてラッシュ。そしてタックル。またもハンドリングエラーを誘った。
ここまでのペナルティは11回。直後9人交代後のペナルティ増加は課題となったが、トライラインは最後まで死守。途中出場のCTBトゥクフカ トネ、PR竹内は相手を押し戻す好守備で、攻守交代をおこした。
6本目のトライは2019年W杯日本代表のヴィンピー・ファンデルヴァルト。スコアは36-0。完封勝利は、昨季リーグ戦第7節以来(清水建設江東ブルーシャークス戦/59-0)チーム2度目となった。
充実の零封。ずっしりとした手応えがあった。
「ここまで良い積み重ねができているからこそ、こういうゲーム内容になってきていると思います。市原合宿も内容の濃い、良い合宿でした。結果に繋がってきています」(HO金正奎)
「チームとしてディフェンス、フィジカルで強さを出せていました。アタックのところが上手くハマれば、シーズンで上手くいくと思います」(FLギル)
次の試合はプレシーズン最終戦だ。
12月2日(土)に浦安DパークにD1の東京サントリーサンゴリアスを迎える。そして翌週9日(土)には、NECグリーンロケッツ東葛との今季D2開幕戦が待っている。