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2023-24プレシーズンマッチ第2戦「王者への挑戦」

2023-24 プレシーズンマッチ第2

◇浦安DR 26-12 S東京ベイ(20231111日@千葉・ゼットエーオリプリスタジアム)

 

相手は昨季チャンピオンだ。出場メンバーはどうか――。スクラムハーフで先発する飯沼蓮は、相手のメンバー表に目を通した。

先発10人は昨季決勝の登録メンバー。カテゴリーCに分類される他国代表経験者こそいないが、本気度を感じる布陣だ。

闘志が、漲ってきた。

「相手のメンバーがとても良かったですし、今週はチャンピオンチームにチャレンジできるということで、みんな相手をイメージしながら良い準備ができました」(SH飯沼蓮主将)

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プレシーズン第2戦の相手は、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(S東京ベイ)。

202223シーズンの決勝で埼玉ワイルドナイツを2点差(1715)で振り切り、ディビジョン1初優勝を遂げた新王者だ。

挑戦の舞台はゼットエーオリプリスタジアム。

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千葉・房総半島中部に位置し、裏手の東京湾に出ると、彼方に本拠地・浦安を眺める。最寄り駅は五井(ごい)。駅至近にある五井若宮八幡神社は、1180年、房総に敗走した源頼朝が、源氏再興を期して鎌倉へ攻め上る途中に戦勝祈願をしたとも伝えられている。

曇天の下、スタジアムに吹く風は冷たかった。

観客席の両軍サポーターがまとう防寒具も分厚い。しかし試合直前のピッチは昨季「D1王者×D2王者」の熱を放射している。レフリーはリーグ本番も吹く梶原晃久レフリー。本番さながらの緊張感と共に、浦安D-Rocks(浦安DR)は駆け出した。

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序盤、チームに緊張が走った。

浦安DRのボールキャリアーを抱え上げられる。ここから攻守交代。近接戦に長ける王者がパワーを見せつける。直後にディフェンスで最初のペナルティ――。悪い流れだ。

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だが、88の勝負で、ムードを断ち切った。 

開始5分。2度目の自軍投入スクラム。相手のFW1列は1番から「102kg」「106㎏」「129kg」と重量級。一人ひとりでは闘わない。

8人の合力で、勝負する。

「今日は強いセットピース(スクラム、ラインアウト)を意識して、スクラムでは重たい相手に8人でまとまって組む事がフォーカスでした。そこは、出来ました」(HO藤村琉士)

梶原レフリーの笛が響く。前半5分の自軍投入スクラムで、ペナルティを奪った。HO藤村が覇気に満ちた表情で、右の拳を軽く突き上げた。

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先制点を挙げたのは王者だった。

S東京ベイがこちらの守備線をロングパスで越えながらゲインを取ってくる。スピーディーかつ正確な連続攻撃。そして前半9分、2度目のゴール前ラインアウトから、FW戦で獲り切られた。

コンバージョンは外れ、浦安DR5点を追う展開に。

ここから浦安DRは、派手さはないが、しぶとく粘った。前半22分には王者の強力モールを防ぎ切った。スクラムは押し切れず、ラインアウトは高さのあるジャンパーに苦しんだが、一進一退の勝負を繰り広げていく。

そして歓喜の同点トライが生まれた。

前半終了前の38分だ。

敵陣ゴール前ラインアウトで乱れはしたが、LO小島佑太が確保。がむしゃらなロータックルで刺さっていたファイターが、間隙を裂いてインゴールへ滑り込んだ。

センター起用のオテレ・ブラックのコンバージョン成功で逆転。チャンピオン相手に75とリードして折り返した。

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後半開始直後、相手の逆転トライは、自陣脱出の失敗が痛かった。

キックチャージから自陣で窮地となった浦安DR。生まれたモメンタム(勢い)に反応したS東京ベイが直線的なラン。押し込まれ、後半3分に逆転トライ&ゴール(712)を許した。

ハイボールの獲得合戦にも苦しみ、劣勢の場面が増えてくる。S東京ベイが得意のラインアウト、高精度のモールでトライを狙ってきた。逆に追加点を奪われそうな気配だ。

だが、崩れなかった。

浦安DRFW陣が相手モールに第一波、二波、三波の圧力を加え、トライラインを死守した。スクラムでは後半14分、FW1列をはじめ後半出場メンバーでペナルティを奪った。

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強いセットプレーを維持し、瓦解を防いだ。

「去年はセットプレーが課題でした。今年は修正して、チャンピオンチームを相手にこのような結果になったことは自信になります」(SH飯沼主将)

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厳しい時間をしのいだ浦安DRが逆襲に転じる。

残り25分。5点を追いかけて敵陣に居座る。ゴール前ラインアウトのミス、ペナルティ(オブストラクション)などでトライが取れない。もどかしい時間が続く。

と、敵陣ゴール前スクラムで相手が反則(ペナルティ)。

好機到来だ。

ここから敵陣右のゴール前ラインアウトへ。時計は61分。ボールを確保してモールを組み上げる。一気呵成に低く、強く押し込む。ラインを越えた。途中出場の金正奎が、モールでの同点トライを記録した。

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モールは通用している――途中出場した2年目のFW武内慎は、モール強化に割いてきた時間の結実を感じていた。

「シーズンの頭からモールのセットアップ、2列目がパンチすることにフォーカスしてきました。ラインアウトでもスピードで取れさえすれば、モールでスコアできる。そこは大きな自信になりました」(FW武内)

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浦安DRは後半28分から、さらに2連続トライを追加する。

原動力は途中出場組だ。後半25分にはCTB本郷泰司の低空タックルからターンオーバー。後半28分の3トライ目は、トライラインに迫る途中出場のSO田村熙のランが決め手だった。

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チーム4トライ目(後半37分)は、2分前に投入されたHO人アサエリ・サミソニが決めた。分厚い岩盤のごとき選手層で、スコアの優位を活かしながら圧力をかけ、突き放した。

勝ち取ったスコアは2612

NTT大会を含め、プレシーズン3連勝を飾った。

「去年に比べると一体感が出ています。チームとして厚みが出てきたと思います」(SH飯沼主将)

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去年は新チーム創設の苦労から始まった。が、2年目の今年は違う。D2(ディビジョン2)残留も共に経験し、一体感はより強まっている。

「去年は新チームが出来たばかりで、お互いを知る、という作業から入りましたが、今年は早い段階からチーム練習ができました。仕上がりは良いと思います」(HO藤村)

苦楽を共にした仲間と築き上げる、2年目のシーズン。次戦の相手も格上D1所属のリコーブラックラムズ東京。1118日(土)、東京・リコー総合グラウンドでの腕試しだ。

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