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2022-23入替戦第2戦「最終決戦」

 

NTT ジャパンラグビー リーグワン2022-23 D1/D2入替戦第2

◇浦安DR 21-56 花園L2023513日@大阪・東大阪市花園ラグビー場)

  

最終決戦の地は、東大阪市花園ラグビー場だった。

今季目標であるD1(ディビジョン1)昇格のためには、この第2戦で、少なくとも「3トライ差以上」+22点差以上」で勝利しなければならない。

今季最大の試練が、最終局面で訪れた。

6日前の入替戦第1戦で、浦安D-Rocks(浦安DR)22点のビハインドを背負った。

ディビジョン2(D2)で全勝優勝を果たした浦安DRは、花園近鉄ライナーズ(花園L)との第1戦に、1436で敗れた。D1昇格が遠のく、チーム史上初の敗戦。中5日での立て直しを図り、大阪へ向かった。

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1戦からは先発5[i]を変更。東大阪市出身のPR(プロップ)西川和眞らが大勝負のスタメンを託された。そして試合序盤の猛攻は、その5人の内の1人、HO(フッカー)フランコ・マレーのキックチャージから始まった。

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先制点を奪う。そしてムードを一変させる。

 

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開始直後、敵陣でボールを確保した浦安DRは、SH(スクラムハーフ)飯沼蓮キャプテンの球出しで波状攻撃。前掛かりで攻めまくる。しかし焦りからか――ラックで反則。規律を守りながら攻撃を継続できなかった。

すると逆に花園Lが攻勢。キックカウンターからの連続攻撃から左隅のトライラインを破られた。花園が大声援に包まれる。さらに5分後の前半10分、2本目のトライを奪われた。

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この時点で第1戦と合わせて計34点のビハインド。浦安DRも敵陣のラインアウトモールで初得点を狙うが、仕留めきれない。スクラムでもペナルティを奪われると、逆に前半25分に3本目を許した。

 

「この(入替戦)2試合は、セットピース(スクラム、ラインアウト等)で苦しみ、ポゼッションを失っている部分がありました」

「あと(相手陣)22mに入ってからのポゼッションを保つことはできるのですが、そこから決めきる精度が課題だと思います」(浦安DR、ヨハン・アッカーマンHC)

  

D2王者の攻撃力も見せた。

試合開始から約30分。相手の反則から敵陣左へ。ラインアウトを確保して、狭いサイドでNO8(ナンバーエイト)リアム・ギルが突破。WTB(ウイング)石井魁、FB(フルバック) 安田卓平とつなぎ、初得点を奪取した。

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その後1トライを奪われたが、諦めない。前半終了前に5本のパスを華麗に繋いだ。フィニッシャーは石井魁。13点を追いかけて後半へ入った。

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まだ間に合う。

 

後半40分間で少なくとも5トライ35得点が必須だ。そして後半開始4分にペナルティ・トライ。CTB(センター)起用のイズラエル・フォラウが、不当なプレーでトライを阻止され、7点が入った。

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まだ間に合う。

 

しかし逆転D1昇格への道は、2枚のカードで険しくなった。

 

「前半はペナルティに気を付けていて、これまでの試合と比べると多くなかったですが、後半は点数と時間の焦りがあり、ペナルティになってしまいました。この一年を通して、そこが一番自分たちの首を絞めたところだと思います」(SH飯沼キャプテン)

 

後半18分に故意のノックオンでイエローカード。さらに3分後に危険なプレーでレッドカード。これで再出場のHOマレーが退場となり、スクラムが押し合い(コンテスト)をしないアン・コンテストに。

アン・コンテストスクラムの原因を作ったチームは1人退場処分となるルールにより、直後の浦安DRは、12人で戦った。

ここからは花園Lのトライラッシュ。

圧倒的な数的不利の12人の間に3トライを浴び、さらに2トライを奪われた。

それでも12人の間、安田卓平は切れ味鋭いステップで会場を沸かせた。フォワードで唯一80分間出場のLO(ロック)ジミー・トゥポウは走り続けた。全員が戦闘態勢を解かなかった。

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しかし、2156で、ノーサイド。

指揮官は試合後、目の前にある現実を、すでに直視していた。

 

「花園近鉄ライナーズさんの残留、おめでとうございます。2試合を戦い、彼らの方が良いチーム、上手(うわて)でした」(アッカーマンHC)

 

花園近鉄ライナーズが、強く、良いチームだった。

 

「私たちはスコアボードよりも良いチームだと信じていますが、ディビジョン1に昇格するにはとてつもない努力が必要なのだと思い知らされました。この先自分は、このチームのリーダーとして自分を見つめ直し、反省し、次のシーズンに活かしたいと思います」(アッカーマンHC)

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シーズン開幕前から、D1を強く意識してきた。だから複数のD1チームと練習試合も組んだ。それでも浦安DRは一度も負けず、D2公式戦で12連勝した。

勝利しても反省点を見つけようとする、試合よりも厳しい練習をする。勝ち続けることで失ってしまうものに対しても、意識を向けてきた。それでも――。

 

「課題を洗い出す機会が足りなかった、ということはあるかもしれません。(今季は)オフの週がかなりあり、試合を組めず、チームとしてリズムを出しづらかったと思います。今後は練習試合をもっと組むなどして、改善できるところはしていきたいです」(アッカーマンHC)

 

開幕12連勝した浦安DRには、リードされて前半を終えた経験がなかった。チームがそれを初めて経験した公式戦は、入替戦第1戦だった。

 

(今季は)追いかける重圧の下でプレーする状況も少なかったので、そこは修正していける部分だと思います」(アッカーマンHC)

 

浦安DRは入替戦に敗れた。初の連敗を喫し、D1昇格を逃した。それでも明日はやってくる。

 

「こんな悔しい経験をできている人も少ないと思うので、それに感謝して、これよりさらに上に行きたいと思います」(SH飯沼キャプテン)

 

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休んで、また、共に歩き出す。

 

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[i]PR西川和眞/HOフランコ・マレー/LOヴィンピー・ファンデルヴァルト/SOクリップスヘイデン/FB安田卓平