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2022-23順位決定戦第3節

4.22頂上決戦」

 

NTTジャパンラグビーリーグワン2022-23ディビジョン2順位決定戦第3節

◇浦安DR 48-28 三重H(2023422日@東京・駒沢オリンピック公園陸上競技場)

 

心身の消耗が激しいゲーム終盤。

7438秒から"その時間"は始まった。

  

「試合の最後に凄い攻防が続いた時がありました」と、今季チーム最多103タックルを決めたFL(フランカー) 繁松哲大は、過酷だった4分間を振り返った。

 

「頭のどこかに『キツい』という思いはあったかもしれません。ただとりあえず、『前に出よう』『みんなで止めよう』と、それしか考えていませんでした」(FL繁松)

 

終盤戦で約4分もの攻防戦が続いた。

お互いに、攻め続ける。

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お互いに、守り続ける。

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浦安D-Rocks(浦安DR)27(4821)をリードしており、試合時間は残りわずか。しかし浦安DRも、おそらく三重ホンダヒート(三重H)もスコアボードは度外視だった。

プレシーズンに始まり、リーグ戦を戦い抜き、両チームは誇りを胸に、この日の頂上決戦に辿り着いた。2つの物語はそれぞれの結末を目指して、ただ前へ進もうとした。観客は固唾を呑んで、彼らの意志を見守った。

4分間プレーは途切れず。攻守交代は実に7回。苦しいカオス状態の中、両軍はプライドを表現した。

まさに決戦にふさわしい高強度の応酬。浦安DRは、試合前にSH(スクラムハーフ)飯沼蓮キャプテンが言った言葉を体現していた。

 

「どれだけカオスな状況になっても、自分たちを信じて、戦おう」

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ディビジョン2(D2)王者を決める「4.22頂上決戦」。

上位3チームによる順位決定戦で共に1勝。リーグ戦1(10)の浦安DRが、最大のライバル、同2(82)の三重Hを東京・駒沢に迎え、D2優勝を決める最終第2戦に臨んだ。

4月下旬とは思えぬ肌寒さの中、第1戦から先発4[i]が変わった浦安DRメンバーが入場。リザーブには第3節以来の出場となるイズラエル・フォラウの姿もあった。

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「今日は序盤で良いスタートを切り、2トライして、そのあとイエローカードが出るという状況でした」(SH飯沼キャプテン)

 

前半5分にラインアウトモールで防御を突き抜け、HO(フッカー)金正奎が先制トライ。さらにWTB(ウイング)石井魁のロングゲインを起点として2連続トライを決めた。

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しかし「シーズンの課題」(SH飯沼キャプテン)である反則から、盤石と思われた足場は崩れる。 

前半15分、相手のモールトライを反則で防いだとの判定。ペナルティ・トライ(7点)とイエローカードを受け、さらに14人の間に1トライを奪われ、前半25分過ぎには貯金が尽きた(1414)

ただ浦安DRのエナジーは、衰えなかった。

 

2トライされましたが、あまり焦ることはなく、前回(豊田自動織機シャトルズ愛知戦)のようにパニックになることもありませんでした」

 

課題を修正していた浦安DRが逆襲に出る。

フォワード同士のパス交換からSH飯沼キャプテンが3本目(前半35)。さらに23歳のキャプテンがエリア中央付近からロングゲイン。WTB石井魁がチーム4本目を演出した。

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14点リード(2814)で折り返した浦安DR

後半開始2分でNO8(ナンバーエイト)リアム・ギルがチャージダウンから独走トライ。勝利の天秤を傾ける大仕事をすると、同10分には司令塔のオテレ・ブラックがPG加点。

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このPG成功で、リードは21(3814)から、3トライ3ゴールでも届かない24点差に。容赦のないショット成功で、オテレ・ブラックはシーズン101得点目。試合後D2の得点王に輝いた。

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浦安DRの容赦のないハードワークはその後も続いた。

後半18分に魅せた堅固なモール・ディフェンス。

途中出場したフォラウのカウンターから仕留めた、石井魁のチーム6本目。

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相手9番の突破に反応した、後半23分のFB(フルバック)安田卓平のアンクルタップ。

そして、7438秒から始まった4分間の死闘。

浦安DRは最後まで粘り強かった。しかしPR竹内柊平が「今日の反省点」と語ったラインアウトの失敗から、最後は三重Hのラストアタックを受けて失トライ。スコアは20点差(4828)で決着した。

ハードワークの末に掴み取ったD2全勝優勝。

「チームで目標にしている『最後までハードワーク』は80分間できました」と、フル出場のFL繁松は誇った。

そして浦安DRにチーム初の優勝タイトルをもたらした就任1年目のヨハン・アンカーマンHC(ヘッドコーチ)

 

「序盤にイエローカードがあり、立ち上がりは厳しかったですが落ち着いて対処しました」と振り返った。

「規律、ラインアウトのタイミングが上手くいかない部分は引き続き課題ですが、それにしてもチームとしては成長してきています」

「優勝を達成したことは、今日戦ったメンバーだけでなく、メンバー外の選手、スタッフ、マネジメント、そして声援を送ってくれた方々の努力の賜物だと思います」(アッカーマンHC)

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プレイヤー・オブ・ザ・マッチはSH飯沼キャプテン。トライの他、ビッグゲインで何度も好機を演出。大舞台に力を発揮する"ビッグゲーム・プレイヤー"の片鱗を見せた。

試合直後には指揮官にもキャプテンにも笑顔があった。しかし来場者へ向けたスピーチで、若きキャプテンの表情は、すでに締まっていた。

 

「喜ぶのは今日までにして、次の入替戦へ向けてマインドを変えていきます。目標はあくまで、ディビジョン1に昇格することです」

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D2優勝は通過点。本拠地・浦安で流した汗、「試合よりきつい」(SH飯沼主将)という日々の練習は、これから始まる2試合のためにあった。

D1(ディビジョン1)チームとの入替戦。

相手は花園近鉄ライナーズ(D112)。第1戦は57()の宮城・仙台。最終第2戦は513()の大阪・花園だ。

 

「次はディビジョン1の高い強度でずっと戦ってきた相手との試合です」

「チームとして良い準備ができているので、練習でというよりは、あとは(試合で)やってみるしかないというところまできています」(アッカーマンHC)

 

自分たちを信じて戦おう。一枚岩で、D1昇格を掴み取る。

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[i] PR西川和眞/HO金正奎/FLタイラー・ポール/SOオテレ・ブラック