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2022-23第10節 − 積み重ねた「当たり前」−
◆NTT ジャパンラグビー リーグワン2022-23ディビジョン2第10節
◆浦安DR 20-10 三重H(2023年3月26日@新潟・新潟市陸上競技場)
荒天の予報は的中した。
雨は止む様子がない。
チーム初上陸の新潟で迎えたホストゲーム。
ビジターチームはわずか勝点4差の好敵手。開幕戦の黒星以降は怒濤の8連勝。2位(勝点38)の三重ホンダヒート(三重H)だ。
この一戦で首位交代もありうる「首位攻防戦」は、雨の決闘になった。
しかし23歳の主将、SH(スクラムハーフ)飯沼蓮に力みはなかった。試合前からチームに伝えてきた。
今日は誰でもできる「当たり前」を、突き詰める。
「ミスが多くなる雨の試合だったので、今日は綺麗なプレーはできません」
「ルーズボールへの反応、リアクションスピードなど、誰でも出来る『当たり前のこと』で差を付けていこうとしました」(SH飯沼主将)
こぼれたボールに飛び込む。そこに特別な才能はいらない。
誰にでも出来る、しかしハードな下働きだ。
「ヨハン(アッカーマンHC)はいつも『誰でもできる当たり前のこと』にこだわらせてくれます。そうした当たり前の積み重ねが勝利に繋がる。そこは試合前日からチームに伝えてきました」(SH飯沼主将)
9戦全勝(勝点42)の浦安D-Rocks(浦安DR)が迎えたリーグ最終第10節。
ホスト会場は新潟市陸上競技場。メインスタンドから眺望できる雄大な水面は、日本で最も長い信濃川だ。
いざピッチへ。
2週間後から始まる順位決定戦2試合、そして入替戦へ向けた「重要な準備」(アッカーマンHC)と位置づけた一戦。スタメンは前戦から7人[i]を変更した。
荒天の新潟に登場した23人には、この日途中出場からデビューを果たし、ラストプレーで拳を突き上げることになる22歳のPR(プロップ)鍋島秀源もいた。
雨中戦は拮抗した。
序盤の浦安DRは反則で前進できない。イエローカード(前半13分)もあった。
しかしセットプレーは安定。ラインアウトの守備も冴え、この日は6回ものロストを誘った。
何よりもフォーカスポイントの一つだったブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)で、泥臭いプレーが光った。
目立った仕事人の一人は、オーストラリア代表15キャップのN0.8(ナンバーエイト)リアム・ギルだ。
無得点で迎えた前半4分。トライを狙う三重Hに対し、ボディ・スラムのように相手を抱えてダウン。
足下に倒した相手から、豪快にボールを引き抜いた。
「ベーシックな部分やマインドが試される試合」(No.8ギル)で、前半36分にもボールを奪う得意技「ジャッカル」で魅せた。
反則から前半16分に3点を先制された。しかしスクラム勝利から同点PG(ペナルティゴール)成功。
35分にはキックの再獲得からWTB(ウイング)ラリー・スルンガが、技ありのトライ。7点リード(10-3)で前半40分間を終えた。
後半も泥臭いハードワークが渋く光った。
44分。PR竹内が突進する。倒される。すぐ起き上がる。ボールを拾ってまた突き進む。
意表を突く竹内のピック&ゴーにWTB石井魁、SH飯沼主将がリアクションしてフォロー。3人で一瞬のチャンスから2トライ目を奪った。
派手さはなかった。しかし泥臭さがあった。「綺麗には勝てない」と予想していたアッカーマンHCに不満はなかった。
トライラインを死守する奮闘は続く。後半14分には16次攻撃を防いだ。4分後にはLO(ロック)金嶺志の落球を誘うタックルでしのいだ。
終盤にはふたたびリアム・ギル、繁松哲大が二人掛かりでジャッカル。この日全員のハードワークで奪ったターンオーバー数は速報値で7回(相手1回)。圧巻だった。
最後はルーキーPR鍋島も歓喜したスクラム・ターンオーバーで決着。20-10でリーグ全勝を決めた。
ただし真の闘いはこれからだ。
指揮官はリーグ全勝を「ファースト・ステップ」と表現した。
「全勝はファースト・ステップです。一番重要なのは待ち構えている試練です」(アッカーマンHC)
最終順位は、上位3チームによる順位決定戦2試合で決定する。
4月9日(日)の豊田自動織機シャトルズ愛知戦。
4月22日(土)の三重ホンダヒート戦だ。
ここで最終順位が決定後、D1(ディビジョン1)下位3チームのいずれかとの入替戦が待ち受ける。
いよいよ浦安DRの2022-23シーズンは佳境に入る。
最後に勝負を分けるのは超絶的な美技だろうか。それとも個の力だろうか。
アッカーマンHCの見方は違った。
「チームの団結、チームの文化、そしてお互いのために戦う気持ちが試されます」
いよいよ真の試練がやってくる。
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[i] HO金正奎/LOローレンス・エラスマス/FL繁松哲大/NO8リアム・ギル/SH飯沼蓮/SOオテレ・ブラック/CTBサミソニ・トゥア